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ポリオ根絶ビールにドーナツ募金 . . . ユニークなポリオ根絶活動をご紹介

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予防接種の最前線から離れた地域においても、ロータリー会員の尽力により、ポリオ根絶への歩みは着実に進んでいます

文:

シカゴ中心街から北に小一時間、ミシガン湖沿いの街エバンストン。その街中にあるバー「Sketchbook Brewing Co.」にビール愛好家たちが集まり、「Snowy Owl(雪白のフクロウ)」、「Secret Stuff(秘密の飲み物)」、「Funkin' for Jamaica(ジャマイカに熱狂)」といった風変わりな名前のビールを味わっています。こうした愛らしいビールの名前もこのバーの魅力の一つですが、先日発売されたビール「Purple Pinkie(紫の小指)」の名称は、単なる気まぐれ以上の大きな意味を持っています。

「Purple Pinkieという名は、ポリオの予防接種を受けた子どもたちに付けられる印に由来しています」と、エバンストン・ヌーヴォー・ロータリークラブの会員であるジュリー・オーブリーさんは話します。彼女が言及しているのは、すでに予防接種を受けたことを示すために子どもの小指に塗られる紫色のインクのことで、世界からこの病気を根絶しようとする歴史的キャンペーンの象徴でもあります。

クラフトビールの手間暇かかる製造工程もさることながら、そこには関心を引かれる背景があります。オーブリーさんは「これは、ポリオがいまだ根絶されていない現状や、ロータリーをはじめとする団体が今も闘い続けていることを広く伝えるための貴重な機会です」と語ります。小麦エールの個性的な風味もポリオ根絶活動と深く結びついており、野生株ポリオが今なお残るアフガニスタンとパキスタンの食文化に敬意を込め、コリアンダーやザクロ、柑橘類の皮が使用されています。

さらにこの取り組みでは、オーブリーさんが所属するエバンストン・ヌーヴォー・ロータリークラブが醸造会社と協働し、限定醸造の「Purple Pinkie」ビールを展開。その売上の一部はポリオ根絶活動へ寄付されています。

2025年の世界ポリオデー前夜、オーブリーさんとほかのクラブ会員たちはバーに集い、常連客に「Purple Pinkie」とポリオ根絶活動について紹介しました。中央のテーブルには大きなバナーが掲げられ、ワクチン用クーラーボックスや、ポリオウイルスを模したぬいぐるみなどの展示、さらに抽選会の景品が並んでいます。客は樽生でビールを味わえるほか、特別デザインの4本パックを購入することもできます。紫色の缶には、小指を掲げて勝利を象徴するデザインが施されています。

近隣のノースウェスタン大学に通う学生のダンさんは、冷蔵ケースから4本パックを手に取りながらこう話します。「普段はいろいろな種類を飲み比べるけれど、これもその一つに加えたいです。面白そうだし。それに、社会的に意義のある活動を応援できるのはやっぱりいいことだと思います。ポリオが今なお注目されなければならない状況は残念ですけど。」

ポリオ根絶を祈って乾杯する(左から)クリス・ブラウン(RI職員)、エバンストン・ヌーヴォー・ロータリークラブ会員のソフィア・マーティンさん、ジュリー・オーブリーさん、トム・ウッズさん、醸造家のセザール・マロンさん。エバンストン・ヌーヴォー・ロータリークラブは、セザール・マロンさんとSketchbook Brewing Co.社と協力し、ポリオ根絶のための資金調達を目的とした限定ビールを開発。その名も「Purple Pinkie」。

写真提供:Monika Lozinska

エバンストン・ヌーヴォーの会員たちは、2022年にこのアイデアを思いつきました。「ポリオへの関心を高めるための独創的な方法を考えていたんです」と、クラブ会長のジェラルド・ファリナスさんは話します。「多くのクラブがパブやバーと提携して、ドリンク1杯ごとに数ドルの寄付をしてもらう取り組みを行っていますが、私たちはそれ以上の何かをしなければならないと考えました」

同クラブは醸造所と協力し、ユニークで印象に残るビールと効果的な募金計画を考案しました。毎年秋になると、醸造所はバーで提供する「Purple Pinkie」1杯につき1ドルと、4本パック1セットの販売につき1ドルを寄付しています。このキャンペーンにより、ポリオ根絶活動に2,000~3,000ドルが寄付されています。この寄付は、世界中で行われているの数多くの募金活動と相まって、ポリオ根絶活動のためにロータリーが掲げる年間募金目標5,000万ドルの達成に大きく貢献しています。

醸造所にとってもメリットはあります。「ロータリークラブが大々的に宣伝してくれるので、醸造所の存在も注目されます。こうした話題作りは大きな助けになります」と、醸造責任者で運営パートナーでもあるセザール・マロンさんは話します。「通常の缶とは見た目が全く異なるので、多くの質問が寄せられます。非常にユニークな商品なんです」

クラブからのアドバイス

活動は大胆に。「Purple Pinkie」は、そのユニークなコンセプトで人びとの注目を集めました。地元の有名店と提携したことで、クラブの認知度も高まりました。

その数日後、同クラブはイリノイ州スコーキーにある同醸造所の別のバーで、再び「Purple Pinkie」イベントを開催しました。参加者は、同クラブが以前にも提携したことのある全米女子サッカーリーグ(NWSL)のチーム「シカゴ・スターズ」の選手たちと交流する機会を得ました。ファリナスさんは、こうしたつながりが募金活動の成功に大きく寄与したと話します。一部の会員が面識のあったマロンさんに協力を依頼したのは、ごく自然な流れでした。また、「Purple Pinkie」の鮮やかな缶のデザインは、国際ロータリー本部事務局の職員、クリス・ブラウンが手掛けました。彼はアーティストでもあり、アルバムのカバーや、別のビール缶のデザインも行ったことがあります。

「考え得る限り最高のビジネスパートナーを探すよりも、すでに繋がりがある人と組む方が簡単です」とファリナスさん。「そうすることもできますが、その場合、交渉ははるかに困難なものになるでしょう。すでに顔見知りの人に声をかけるのは簡単です」

エバンストンで実施されたこの活動は、会員が楽しみながら協力し、ネットワークを生かして大きなインパクトをもたらした、ほんの一つのプロジェクト例にすぎません。世界ポリオデーにちなんだ世界中の取り組みからも、多くを学ぶことができます。

写真提供:Cindy Gammons, John Downs, Margo Hughes

デイブさんからのヒント

知り合いの店主に声をかけてましょう。「何よりも大切なのは人脈。ロータリアンの人脈があれば、こうした取り組みも実現可能です」

ロータリーのリーダーと協力しましょう。「今後はガバナーが各地区でこのプログラムを実行していく方向で進めており、私はドーナツの手配を担当します」

ドーナツ募金

米国

米国最大のドーナツチェーン「ダンキン」のフランチャイズオーナーであるデイブ・バウムガートナーさんは、小麦粉や揚げ物については詳しいものの、募金活動についてはあまり知りませんでした。しかし、フランチャイズのマーケティングマネジャーで、ノックスビル・ロータリークラブ(テネシー州)の会員でもあるマーゴ・ヒューズさんから、2018年「世界ポリオデー」に紫色のシュガーコーティングを施したドーナツを販売しようと提案され、彼はそれが素晴らしいアイデアだと直感しました。それから7年、彼は米国南部と北東部で、クラブがポリオ根絶のために770万ドルを集めるのを支援してきました。すべてが順風満帆だったわけではなく、紫色の素材が入った容器を五つ、別の州のパン屋に配送してしまったこともあります。それでも、「素晴らしいプログラム」だと彼は話します。「人びとは世界的なポリオ根絶に前向きな気持ちを持つ必要があるが、そのためにはある程度の啓発が必要です」

なぜ関心を持つべきなのか

ロータリーと「世界ポリオ根絶推進活動」(GPEI)のパートナーは、ポリオ症例を99.9%削減しました。現在、野生型ポリオの症例がごく少数確認されているのは、アフガニスタンとパキスタンの2カ国のみです。症例数がこれほど限定的であるのに、なぜ関心を持つべきなのでしょうか。

これまでの成果を維持し、この取り組みを完遂するには、さらなる努力が必要です。その多くは、広範な検査機関のネットワークや高度な疾病サーベイランスなど、舞台裏での活動によって支えられています。

ポリオ根絶活動を完遂するための2022-29年度のGPEI予算総額は69億ドルに上ります。ロータリーとゲイツ財団のパートナーシップにより、毎年最大1億5,000万ドルが調達されています。

2024-25年度における資金投入(単位:百万ドル)

  1. $85.9

    子どもへのワクチン投与活動

  2. $41.8

    認識向上活動

  3. $9.1

    専門家による活動

  4. $6.7

    疾病の検知

  5. $5.4

    ワクチン

写真提供:Alexis Muderevu, Paul Atwine

アレクシスさんからのヒント

地方自治体との関係を築きましょう。「ロータリーはルワンダで、特に保健分野において多くの活動を行っています。政府もこれを好意的に受け止めています。ロータリーが何かを行おうとする際、常に政府の支援を得ることができています」

No 自動車、No ポリオ

ルワンダ

ルワンダの首都キガリでは、健康増進と環境に対する意識向上を目的として、毎月2回の日曜日に「ノー自動車デー」を実施しています。国内のロータリークラブやローターアクトクラブの協力により、参加者たちはポリオ根絶について学ぶことができました。鮮やかな赤いシャツを着て色とりどりの横断幕を掲げた約2,000人のロータリー会員が、市内を巡る「ポリオ根絶ウォーク」を先導し、スタジアムに集まって一緒にエクササイズを行いました。「一般市民と直接対話する機会となった」と、キガリ・ロータリークラブのアレクシス・ムデレヴ会長は話します。「新聞やテレビ向けの記者会見も行われました」。さらに、ルワンダとセネガルの大統領がスタジアムでのイベントに出席し、ロータリー会員は約7,000ドルを集めました。「会員同士で募金し、一般の方々から寄付を集める予定はありませんでしたが、その後、多くの人が寄付をしてくれました」

写真提供:André Springer

クリスチャンさんからのヒント

時間をかけることも大切。「コンサートの具体的な準備は、1年以上前から始まっていました」

音楽を通じた全国活動

スイス

10月27日、スイスのルツェルンにある文化・会議センターにて、チャイコフスキーとドヴォルザークの旋律が響き渡りました。名高いシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団が、ヨーロッパ各地および世界中から集まった聴衆のためにチャリティーコンサートを開催。スイスとドイツのロータリー地区が主催したこのコンサートでは、世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)のための寄付約85,000ドルが寄せられました。コンサートの前に行われたイベントでは、ロータリー会員たちが政府関係者や世界保健機関(WHO)の代表者と面会しました。「これはスイス全土にわたる啓発・認識向上活動です」と、ドイツのハーゲン/ヴェストファーレン・ロータリークラブのクリスチャン・シュロイスさん話します。「コンサートに先立ってテレビやメディアで大きく取り上げられ、これが本イベントの重要な要素となりました」

写真提供:Lizbeth Palacios

リズベスさんからのヒント

20代の人びとの心に訴えるには、目を引くような工夫をしましょう。「若い人たちがソーシャルメディアに投稿したくなるようなビジュアルを意識するんです」

ハロウィーンで社会貢献

メキシコ

ハロウィーン前後の晴れた日、メキシコのモンテレイ大学の学生たちが、カボチャを使った募金活動を実施しました。同大学のローターアクトクラブは、参加者がカボチャを飾り付けられるよう、絵の具や筆、そしてカボチャを用意。学生たちにできる寄付には限度がありますが、それ以上に重要なのは、このイベントを通じて、ロータリーやポリオ根絶活動、そして同クラブのその他の活動について、キャンパス内で認知度が高まったことだと、クラブ会長のリズベス・パラシオス・マルティネスさんは話します。また、学生たちはイベントや自分たちが作ったハロウィーンの飾り付けについてソーシャルメディアに投稿し、さらに広く情報を広めました。

数字で見る2025年世界ポリオデー

  1. $979,296

    ポリオプラス基金へのオンライン寄付

  2. $382,334

    Raise for Rotaryで集まった寄付

  3. 寄付者2,603名

  4. 194のファンドレイジング用ページ

Raise for Rotary」は、個人会員やクラブがキャンペーンを立ち上げ、ロータリー財団とポリオ基金のために寄付を募ることができる、シンプルなオンライン募金用サイトです。

写真提供:Emanuel Arnold Boas、チューリップのイラスト:Getty images

シーベさんからのヒント

結果が予測できなくても、新しいことに挑戦してみましょう。「有機栽培のチューリップの注文が、予想をはるかに上回りました」

ロータリーの次世代を担う人たちと交流を深めましょう。「毎年、現職および次期のガバナー全員と面会し、私たちの活動について説明するようにしています」

End Polio Nowチューリップ

オランダ

チューリップほどオランダらしいものがあるでしょうか。2014年以来、オランダのロータリー地区は、自国のアイデンティティを象徴するこの花を活用し、ポリオ根絶のための資金集めを行っています。地区は、ヨーロッパ各地の園芸愛好家に向けて、End Polio Nowチューリップ(より正確にはその球根)を販売しています。各クラブはノースホラント州の生産者と契約し、「End Polio Now」のシンボルカラーである赤と黄色の花びらを持つ新しい品種のチューリップを開発しました。チューリップ産業が環境に与える影響への懸念に応えるため、各地区では最近、有機栽培の球根の販売も開始。「市場や地方自治体は有機栽培のチューリップを好みます。そこで今年は初めて、それらも提供しました」と、フォールハウト・ロータリークラブの会員であるシーベ・ステリングウェルフ・ベインテマさんは話します。2025年の注文のうち、有機栽培の球根は5分の1を占め、この募金活動は約17万5,000ドルの収益をもたらしました。

会員の写真提供:Mark Anderson、電車の写真提供:Getty Images

マークさんからのヒント

お役所で最初は難色を示されても、希望を捨てないでください。「ニューサウスウェールズ州の交通機関から、駅での募金活動を行う許可を得ることができました。これまで、駅や電車内での募金活動は禁止されていましたが、今年、同機関の広報部門がこのイベントの宣伝を始めてくれたんです」

190駅、18時間、1つの使命

オーストラリア

どんな大きな取り組みにおいても、「最後の1マイルが最も難しい」とよく言われます。マーク・アンダーソンさんは、そのことを身をもって知っています。例えば、シドニーの公共交通網にある約190の駅をすべて自転車で巡るのにどれだけの時間がかかるか、彼はよく知っています。それは18時間以上にも及ぶのです。午前4時30分にスタートし、深夜近くまで走り続けるアンダーソンさんと息子のデイブさんは、毎年「世界ポリオデー」にこの路線網をくまなく巡ります。彼らは2018年からこの活動を続けています。アンダーソンさんが所属するビー・クロフト・ロータリークラブをはじめ、地域のクラブ会員たちが、行程の一部または全行程に参加しています。参加者たちは立ち寄る駅ごとに寄付の誓約を集め、2025年には約7万米ドル、募金活動開始以来の累計では572,000米ドルを集めました。この取り組みはアンダーソンさんにとって個人的な意味を持ちます。彼の父親はポリオを患い、子どもの頃は脚の装具を装着しなければならなかったからです。このチャレンジはメディアから大々的に取り上げられており、アンダーソンさんも一日中ラジオの生放送インタビューに応じることに慣れています。列車がガタガタと走る中、全国放送のテレビ生中継に出演したこともありました。「電話がかかってきて、『ABCの全国ニュースで取り上げたい。スマホにZoomは入ってる?』と言われたんです。その後、ABCのプロデューサーから『3分後に生放送だ』と連絡があり、本当に驚きました」

写真提供:Nancy Barbee

ナンシーさんからのヒント

「Raise for Rotary」で募金キャンペーンを立ち上げ、広く紹介しましょう。紹介する際は、必ずしもこのツールを経由して寄付する必要はなく、それ以外の方法で別途寄付して、その旨を連絡していただくという方法でもよいことを伝えましょう。

聖火でポリオ根絶への思いをつなぐ

米国

インドのロータリアンたちが、同国でのポリオ根絶を祝うためにオリンピック式の聖火リレーを行ったという話を耳にしたとき、ナンシー・バービーさんとコリーン・ボナドンナさんは興味をそそられました。もし自分たちも同様の旅で北米を横断し、アルバータ州カルガリーで開催される2025年のロータリー国際大会でその旅を締めくくることができたらどうだろう、と考えたのです。すでに多くの地を巡ってきたその聖火を手に入れると、二人は米国中部を縦断する曲がりくねったルートへと旅立ちました。テネシー州からイリノイ州、ミネソタ州、サウスダコタ州、そしてさらにその先へと進み、各地のロータリークラブを訪れ、学校や町役場で講演を行いました。各地では地元クラブが先遣隊として彼女たちをサポートしました。「訪れた場所ごとに、大規模な広報イベントを開催するよう努めました」と、ノースカロライナ州ジョーンズカウンティ・ロータリークラブの会員であるバービーさんは話します。「私たちの役割は、認識を高め、なぜ活動を継続する必要があるのかを説明することでした。現地クラブの役割は、メディアを招き、事後のフォローアップを行うことでした」。この二人の旅を通じて「Raise for Rotary」で寄付を募り、ポリオ根絶のために60万ドルを集めました。

本稿は、「Rotary」誌2026年5月号に掲載された記事を翻訳したものです。

4月の「世界予防接種週間」を記念して、ポリオ根絶活動を支えるご寄付にご協力ください