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時間がとまる一瞬:2025年『Rotary』誌フォトアワード

世界中の驚異の瞬間を捉えるため、ロータリー会員がカメラを構えたその先には何が写ったのでしょうか  

写真史上最も記憶に残る一枚についてのストーリです。パリのサン・ラザール駅の後ろで、男が大きな水たまりを飛び越えようとしています。彼は決して向こう岸までたどり着くことはできませんが、水面に着地する直前のその一瞬、彼は空中に浮かび上がり、水面に映る彼の交差した足が映し出されています。これを捉えた写真家は決定的瞬間だと思いましたが、そのようなタイトルにはしませんでした 

1952年、フランスの写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンは、自身の作品集を『Images à la Sauvette(逃げ去るイメージ)』というタイトルで出版しました。アメリカの出版社は、そのタイトルが気に入らず、代わりに、本書の序文に17世紀の回想録作家、レツ枢機卿のエピグラフを採用しました:「この世に、決定的な瞬間を持たないものは何一つない」  

カルティエ・ブレッソンは、特にそのフレーズが彼を代表するようになってしまったため、英語のタイトル『The Decisive Moment(決定的瞬間)』を好みませんでした。しかし、それは彼がほかの場所で述べた「写真とは、一瞬にして永遠を捉えることができる」という言葉を正確に反映していました。そして、このフレーズは世代を越えて写真家たちの指針となったのです。その中には、今年の写真コンテストで取り上げられたロータリアンたちも含まれるかもしれません。アドリア海の赤い屋根の町の上空に水柱が渦巻く様子、中西部の祭りで大きな火花が散る瞬間、ボツワナの泥沼を跳び越える白い牙のイボイノシシなど。

これらはすべて「決定的瞬間」です。 

カルティエ・ブレッソンはまた、「人間の顔の表情よりも儚いものとは何だろうか」と問いました。その答えは、今年の「世界を変える行動人」部門の受賞作品をご覧ください。2人のロータリアンが調和の崇高な瞬間を共有している様子です。フランス人写真家がそのような瞬間を明確に表現したように、生きる行為そのものが生命として捉えられた瞬間です。


最優秀作品

エリック・ストランド:ファーガス・フォールズ・サンライズ・ロータリークラブ(ミネソタ州)

栄光の炎:ノースダコタ州ファーゴの東南約数マイルにある小さな町、ローラグでは、毎年労働感謝祭の週末に「ウェスタン・ミネソタ・スチーム・スレシャーズ・リユニオン」が開催されます。夜の「スパーク・ショー」では、古式蒸気式トラクターの火室に木くずと木片が投入され、激しい爆発が夜空に黄金の滝を刻み込みます。

最優秀作品:世界を変える行動人

ジョン・バターフィールド:ダブリン・ワージントン・ロータリークラブ(オハイオ州)

海を越えて支え合う手と手:25年前、オハイオ州のダブリン・ワージントン・ロータリークラブは、ドミニカ共和国のサンティアゴ・デ・ロス・カバジェロス・ロータリークラブとパートナーシップを結びました。両クラブは、サンティアゴの貧困地域に住む家族と学生を支援する活動に取り組んできました。昨年10月、オハイオ州のクラブから代表団がサンティアゴを訪問しました。そこで、デイブ・ハンセンさん(左)は、第4060地区のパストガバナーでサンティアゴ・クラブのベテラン会員である102歳のモリ・タラージさんと再会しました。パートナーシップの設立に尽力した両氏は、感動的な30分間の再会中、ほとんど手を握り合っていました。 

そのほかの優秀作品

壮大なイルミネーション:銀河を背景に、メイン州のウェスト・クオディ・ヘッド灯台は、アメリカ本土の最東端に位置する高台から夜空を照らし出しています。この灯台は1808年に設立され、現在の灯台と灯台守の住居は1858年に建設されました。住居からは、温かみのある独自の多色照明が夜空を照らします。 

デビッド・モーズ(リンダ・ローズの配偶者):エルスワース・ロータリークラブ(メイン州)  

私がリーダー:ネパールのガンダキ州で、低学年の生徒がオーストラリアのホール・ロータリークラブからシュリー・バラヒ小学校に贈られたピースポールのパネルにネジを締める作業を行っています。ホール・ロータリークラブはリーチ・フォー・ネパール財団と協力し、ネパール中央部の複数の学校の再建を支援。地震に耐えられる教室の建設や、水道・衛生設備の改善を実施しました。 

クリス・エドワーズ:ホール・ロータリークラブ(オーストラリア)

多様な色が交じり合う美しさ:インドのジャイプール郊外、400年の歴史を誇るアンメール要塞から、色鮮やかな衣装をまとった4人の女性が景色を楽しんでいます。この要塞には寺院、壮麗な柱廊ホール、そしてラージャの豪華な住居が設けられています。インドのラジャスタン州にあるほかの要塞と共に、アンメール要塞は2013年にユネスコの世界遺産に指定されました。 

モーリーン・マクゲティガン:バリー・オブ・ザ・ムーン・ロータリークラブ(カリフォルニア州)

ねじれて立ち上る水柱:青空と黒雲が対峙する中、コルチュラ島とクロアチアのペリエシャツ半島を隔てる水路から水柱が立ち上ります。水温の上昇に伴い、アドリア海は水位が上昇し、干ばつや豪雨を含む極端な気象現象が頻発しています。 

エリザベス・クラフト・アンダーソン:レイク・オズウェゴ・ロータリークラブ(オレゴン州)

ピガサス(PigとPegasusの造語):ボツワナのオカバンゴ・デルタで、イボイノシシが水で満たされた溝を跳び越えています。デルタの湿地帯と水没した平野は、チーター、クロサイ、ライオン、アフリカン・ワイルドドッグなど、世界でも最も絶滅の危機に瀕した種々の生物の避難所となっています。現在絶滅危惧種には指定されていないものの、イボイノシシの個体数は生息地の破壊、干ばつ、密猟により減少傾向にあります。 

デービッド・バーク:ケラー・ロータリークラブ(テキサス州)

沈黙の翼に乗って:壮観な断崖、豊かな松林、そして太平洋の絶景を誇るグレンエデン・ビーチは、オレゴン州中央海岸で最も美しい景観の一つです。しかし、母親が魔法の泡で濡れた杖を振ると、湿った砂浜の上を軽やかに浮遊する薄絹のような泡の光景が広がり、これほど魅惑的な景色はありません。  

リック・ロゴウェイ:クラッカマス・ロータリークラブ(オレゴン州)

聖なる導き:ネパールのルンビニにある聖園は、仏陀の生誕地として知られ、1997年にユネスコ世界遺産に指定されました。この地では、木々から祈りの旗がはためいています。 

マイケル・モリッシー:ノバト・ロータリークラブ(カリフォルニア州)

オーロラ・クメールリアリス:カンボジアのアンコール・ワットで、人びとが日の出と共に新しい一日を迎えるために集まります。ヒンドゥー教の神ヴィシュヌを祀るために建設されたこの900年の歴史を持つ寺院は、現在仏教の聖地として崇敬され、ユネスコ世界遺産に登録されており、世界最大の宗教複合施設です。  

ダニロ・サルシード:リッチモンド・サンライズ・ロータリクラブ(ブリティッシュ・コロンビア州)

佇む船:2024年7月24日、台風「ケーミー」が台湾に上陸し、風速125マイルを超える暴風をもたらしました。この台風により、カメルーン籍の貨物船が台湾の南西海岸にある大鵬湾に座礁し、約2カ月間その場に留まった後、航海を再開しました。その間、船は地元の観光名所となりましたが、この薄暗い夜には、唯一の訪問者は一人の子どもだけでした。  

キーマン・シェ:台南成大ロータリークラブ(台湾)

シャーマンの祝福:ドミニカ共和国のパマルレホにあるバテイ(集落)で、村の長老が「Builders Beyond Borders」という学校プロジェクトを祝福し、現地でボランティア活動を行うアメリカの高校生たちに語りかけました。この集落の住民の大多数はハイチからの移民またはその子孫で、多くがサトウキビの収穫作業に従事しています。 

アンソニー・リジオ:ウェストポート・ロータリークラブ(コネチカット州)

最後の言葉:「私はカリフォルニア州ベンチュラにあるヴァンデンバーグ宇宙軍基地の近くに住んでいます。一年中宇宙プログラムを追っています。自宅から打ち上げを撮影する準備をしていたところ、望遠レンズにカマキリが止まっているのを見つけました。どうやら彼も宇宙ファンだったようです。彼は数分間、夕暮れを眺めながら、私が写真を撮るのを許してくれました。平常心を保ち、自分と時間を共有するどんな生物も受け入れ、人生を楽しみましょう」  

ジョン・ブラント:ベンチュラ・ロータリークラブ(カリフォルニア州)

本稿は『Rotary』誌2025年6月号に掲載された記事を翻訳したものです。

カメラの準備をお忘れなく!次回の『Rotary』誌写真コンテストは、10月から作品を募集します。