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スポーツの力で変化を生み出す

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ロータリークラブとローターアクトクラブにとって、スポーツは単なる競技以上のもの。それは、社会に良い変化をもたらすための手段でもあります。ヨーロッパでのサイクリングロード、ブラジルのテニスコート、日本の緑豊かな公園など、世界各地のロータリー会員は、スポーツという世界共通の魅力を利用して、ポリオ根絶、環境保護、教育支援、社会的インクルージョン推進などの活動を展開しています。

全世界

サイクリングで友情と奉仕を

「Cycling to Serve」は、サイクリングと奉仕活動に熱心なロータリー会員が集まる国際的なロータリー親睦活動グループです。世界選手権やヨーロッパを巡る4日間の自転車ツアーなど、さまざまなイベントを通じて友情を育み、募金を行い、地域的・国際的プロジェクトを支援しています。険しい峠であれ、のどかな田園風景であれ、自転車のペダルをこぐごとに平和とつながりを生み出しています。


メキシコ発

2,400キロのポリオ根絶ライド

メキシコ・チワワ州のシウダー・フアレスから米国イリノイ州エバンストンのロータリー本部までの距離は、1,500マイル(約2,400キロ)。フェリペ・メサさんと仲間たちは、12日間かけてこの道のりを自転車で走破しました。

道中でポリオ根絶への支援を呼びかけ、集まった10万ドルの寄付は、ゲイツ財団からの2倍額の上乗せによって、30万ドルへと膨らみました。この資金は、世界に未だ残るポリオ常在地域での予防接種活動に活用されます。


日本発

青いシャツでみんなで歩く― 自然を感じながら社会貢献できる地域イベント

昨年度、名古屋熱田ローターアクトクラブの主催で、チャリティーウォークイベント「Walk In Blue」が地元の公園で開催されました。今年で3回目となるこのイベントは、地域住民に自然や環境への関心を深めてもらうと同時に、社会貢献も目指す取り組みとして注目を集めています。

当日は、参加者全員に青いシャツが配られ、澄んだ秋空の下、青一色に染まった集団が約5キロのコースをゆっくりと歩きました。歩きながらスマートフォンに配信される自然や環境に関するクイズに挑戦し、参加した子どもたちはゲーム感覚で楽しみながら学ぶことができました。

イベント参加費の7割は、「子育て支援のNPOまめっこ」に寄付され、残る3割は今年度の開催費に充てられます。この仕組みは第1回目から継続されており、過去には地元の環境保護団体や「愛知こどもホスピスプロジェクト」に寄付しました。持続可能な活動として地域で着実に根づきつつあるこのイベントは、地元の人びとや会員が自然を感じながら歩く、かけがえのない時間となっています。


イタリア発

自閉症の子どもたちにゴルフを

ゴルフといえば、自然の中でゆったりと楽しめる娯楽スポーツの代表格。シチリア島のシャッカ・ロータリークラブ会員で、地元グループ「Rotary Golf 4 Autism」のメンバーであるフィリッポ・アレシさんは、ゴルフが自閉症の子どもたちの癒しと成長の方法になると信じています。

2021年、アレシさんは、自身のクラブ、そして近隣のリベラ・ロータリークラブのゴルフ好きたちとともに、自閉症の子どもを支援するプロジェクトを開始。専門インストラクターによる視覚的・体験型の指導でコミュニケーションと協調性を育み、社会参加を促進するこのプロジェクトは、今も続いています。

「このプロジェクトに費やす時間には大きな価値があります。とてもやりがいを感じています」とアレシさんは語ります。


ブラジル発

スポーツを社会変革の手段に

ブラジルでは、テニスからサッカーまで、全国のロータリークラブがスポーツを通じてインクルージョン、健康、教育を促進しています。テレゾポリスでは、生徒490人の公立学校にボールやネットなどのスポーツ用品を寄贈。エスピリト・サント州では、地元住民が運動できる場として、ジャグァレー・センテナリオ・ロータリークラブがテニスコートとサッカー場を整備。ほかにも、「Good at Tennis, Better at School(テニスが得意、学校も得意)」や「Goals & Learning(目標&学び)」などのプログラムを通じて、子どもの平均学力や身体能力が低い地域での支援活動を展開しています。

ロータリー会員、マルコス・フランコさんは、テニスを題材にした児童書を発行し、国内外6,000人以上の子どもたちに影響を与えています。


ウガンダの選手たちが毎年恒例のロータリー主催「がん撲滅チャリティーラン」に参加しました。

ウガンダ発

がんのない未来のために走る

2012年以来、ウガンダのロータリー会員は毎年「がん撲滅チャリティーラン」を開催し、がん治療支援と啓発活動を続けています。このイベントは、がん病棟を建設するという夢から始まり、今では全国規模の取り組みに成長。2024年には5万人以上が参加し、がん予防・早期発見・治療のための資金を集めました。寄付金は、St. Francis病院内にある「ロータリー・センテナリーバンク癌センター」への支援に充てられ、治療へのアクセスを改善するための幅広く活用されます。


イギリス発

スポーツ精神と奉仕を融合した「ロータリースポーツ・ロータリークラブ」

2024年、イギリスのベイジングストークで誕生した「ロータリースポーツ・ロータリークラブ」は、その名の通り、スポーツと社会貢献への情熱をもつ人びとが会員となっているロータリークラブです。

世界各地にいる会員は、アフリカへの除細動器の寄贈や、イギリスの学校での青少年支援のための募金活動を実施。さらに、サッカー界のレジェンド、ピーター・シルトン氏や、陸上選手のマリリン・オコロ氏といったスポーツ界の著名人からも後押しを受け、スポーツへの情熱と奉仕活動を結びつけることの効果を実証しています。

(※英国・アイルランド版『Rotary Digital Magazine』に掲載された記事より)


フランス発

社会貢献のためにペダルをこぐ

「ツール・ド・フランス」の国、フランスのロータリー会員たちは、サイクリングを単なるスポーツではなく、社会にインパクトを与える手段へと変えています。

フランス各地で、クラブや会員がサイクリングイベントを企画・参加し、子どもの病気やがん研究、再植林、がん克服者向けのスポーツの推進など、社会貢献のための資金集めや啓発を行っています。

カンヌ・リヴィエラ・ローターアクトクラブの会員、ベンジャマン・パランさんは、世界を自転車で旅しながら植樹を行い、環境の持続可能性を推進する起業家たちを訪れてその情報を発信。また、カオール・ロータリークラブのフィリップ・スドレさんは、小児病院をサポートするために数千キロを自転車で走破しました。

(※フランスの『Rotary Mag』に掲載された記事より)


台湾発

ポーカーを社会奉仕に変える方法

ゲームを「スポーツ」と定義するかどうかは国や文化によって異なりますが、チェスやポーカーのようなゲームは国際的に「マインドスポーツ」に分類されています。こうした考え方を踏まえ、台北東仁ロータリークラブは、恵まれない子どもたちや野良犬・野良猫の支援を目的に、アジアポーカーアリーナで初の「チャリティ・ポーカーキング・トーナメント」を開催しました。

設立からわずか4年のこのクラブは、創造的でインクルーシブな奉仕へのアプローチで、急速にその評判を高めています。トーナメントはプロ仕様のポーカー会場で行われ、フォーマルなドレスコードを採用。初心者向けのガイド付きレッスンも行われました。純収益は、障がい児を支援する地元の施設と、野良犬・猫の保護施設」に寄付されました。


韓国発

グローバルヘルスを支えるサイクリングチャレンジ

2024年11月、韓国のロータリー会員200名以上が全国規模のサイクリングチャレンジに参加し、蔚山からソウルまで769キロを走破しました。この「ライディング・クロス・コリア」チャレンジは、持続可能な生活習慣の推進と社会貢献のための協同を目的としています。

このチャレンジで集まった寄付金は6,000万ウォン(約632万円)以上。全額がロータリーの世界ポリオ根絶活動に寄付され、地域でのスポーツ活動をグローバルヘルスへの関心喚起と募金の機会へと変えました。


ドイツ発

ちょっとユニークな「カーリング」大会

2024年、ドイツ・ザクセン州のリエーザ=エルブラント・ロータリークラブの主催で第3回「アイロンカップ」が開催され、地域の子ども支援プロジェクトのために約6,400ユーロ(約115万円)を集めました。このカーリング大会の特徴は、通常のカーリングストーンではなく、古いアイロンを使うこと。参加者はアイロンを氷上で滑らせ、できるだけパックに近づけることを目指します。

地元の34企業から3人1組のチームがエントリーし、「ゴールデンアイロン」トロフィーを獲得すべく氷上で競いあいました。各チームが参加費として200ユーロを寄付したほか、会場でのホットドリンクとソーセージの販売でも収益が上がりました。

チームを出せなかった企業も寄付に協力し、地域全体で支援の輪が広がりました。このカーリング大会で集まった資金は、地域でのさまざまな奉仕に活用されます。次回は今年12月に開催される予定です。

ロータリーのスポーツ愛好家たちはロータリー親睦活動グループを通じてつながっています。詳しくはこちらをご覧ください。

— 2025年11月


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