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ブラジルのロータリークラブが全国的なポリオ予防接種キャンペーンを展開

新型コロナウイルスでの経験をヒントに国内のポリオ予防接種を推進

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文:

新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたのは、悪いことばかりではありません。ブラジルでは、ポリオ予防接種を呼びかける新たなキャンペーンの誕生につながりました。

パンデミックの中、ブラジルでは全国でワクチンへの懐疑が広がりました。「ワクチンは安全」というメッセージを広げる必要があると考えたブラジルのロータリー会員、アントニオ・エンリケ・バルボサ・デ・バスコンセロスさん(フォルタレザ-アラガジソ・ロータリークラブ所属、現国際ロータリー理事)は、証拠に基づく情報発信キャンペーンを提案。こうして、世界保健機関(WHO)や汎米保健機構からの事実や統計を人びとに伝える「情報は命を救う」キャンペーンが立ち上げられました。

このキャンペーンには大きな反響がありました。バスコンセロスさんはこう振り返ります。「キャンペーン開始イベントでは、収容人数500人の会場が数分で埋まってしまいました」

バスコンセロスさんのチームは、キャンペーン用の雑誌広告、看板、バスの窓やバス停に貼るステッカー、ラジオ広告、ウェブサイト、ソーシャルメディア用グラフィックなど、各種メディアで使える広告をデザインし、国内のクラブに配布。多くのクラブは、これらの広告を地元で出すために、募金活動やパートナー団体を通じて広告料を捻出しました。

バスコンセロスさんと仲間たちはその後、ポリオ予防接種にも同じアプローチが取れることに気づきました。ブラジルでポリオ症例が最後に記録されたのは1989年ですが、接種率の低下によりポリオ再発の危険性が高まっています。同国保健省によると、2022年の国内の5歳未満の予防接種率はわずか72%。このため政府は、5歳未満の子どもの接種率を90%~95%にすることを目標に掲げています。 

バスコンセロスさんは、ロータリー公共イメージコーディネーター、ポリオ担当部スタッフ、ローターアクトとインターアクトの会員、『Rotary Brasil』誌のスタッフから成るチームを編成して、ポリオに関する新しいメッセージを作成しました。「ともにポリオと闘おう」と銘打つこのキャンペーンでは、新型コロナのキャンペーンで使った広告に加え、風船とTシャツに使うデザインも作成し、キャンペーンのウェブサイトとソーシャルメディア用グラフィックを駆使してオンラインでもメッセージを広げています。

「ともにポリオと闘おう」キャンペーン広告のひとつ。

キャンペーンでは、意図的にカラフルなデザインを用いて楽しそうなイメージを出しています。

「ポリオ予防接種を受ける子どもを増やすと同時に、さまざまな人が結束する“多様性”を示したいと考えました」と話すのは、ロータリー公共イメージコーディネーターであるカルロス・ダニエル・フェルナンデスさん(リベイラン・プレト-ウレスティ・ロータリークラブ会員)です。「悲しいイメージではなく、楽しそうなイメージで人びとの注目を引くことにしました」

「ともにポリオと闘おう」キャンペーンの9月の開始イベントには、対面式で2,000人近く、オンラインで800人以上が参加。「情報は命を救う」キャンペーンを上回る反響がありました。「毎日のように、全国からイベントを紹介した多くの記事や写真が送られてきます」とバスコンセロスさん。

「情報は命を救う」キャンペーンと同じく、「ともにポリオと闘おう」キャンペーンでも、多くのロータリークラブが地元のパートナーシップを通じて資金を集め、無料で広告を出すことに成功しています。「市内のクラブは、2,000枚のポスターを病院や学校、保健センター、バスなどに無料で掲示しました」とバスコンセロスさんは言います。

国際ロータリーブラジル事務局のアウレア・ドス・サントスによると、キャンペーン用広告は「クラブがウェブサイトからダウンロードして、手を加えずにそのまま使える」ものです。

世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)の創立メンバーであるロータリーは、1988年のGPEI創設以来、世界のポリオの症例を99.9%減らす合同の取り組みに参加してきました。ロータリーとパートナー団体は、これまでに122カ国で30億人以上の子どもにポリオの予防接種を提供しています。

2023年11月