インド、ムンバイのローターアクター(会員のほとんどが医師)は、貧しい地域の学校に通う子どもたちのために、視力検査や総合的な眼科医療を提供しています。医療キャンプの方式で行われているこのプロジェクトで、何千人もの子どもたちが恩恵を受けました。
カドゥセウス・ローターアクト・クラブ(インド、ムンバイ)によるプロジェクト(子どもたちに視力検査や眼科医療を提供する「Vision Six by Six」というプロジェクト)が、卓越したローターアクト・プロジェクト賞を受賞しました。会員はこのプロジェクトのためにさまざまな募金活動を実施し、15,500米ドルを集めました。子ども一人あたり1ドル以下で眼科検診の費用が賄えるよう、医療品をまとめて購入しただけでなく、白内障や斜視の手術を提供するため、3つの非営利組織病院と協力しました。
受賞クラブは、3月11~17日の世界ローターアクト週間に合わせて発表されました。各地域から選ばれた受賞7クラブのうち、ムンバイのクラブが世界賞に選ばれました。受賞クラブは、6月にポルトガルのリスボンで開催されるローターアクト大会前会議にて、プロジェクトに関する発表を行います。
この医療キャンプで治療を受けた子どもたちは、目の屈折障害、感染症、アレルギー、ビタミンA欠乏症などに苦しんでいました。プロジェクト開始後7カ月間で、1万人以上の子どもたちが検査を受け、そのうち1,520人が何らかの視力矯正治療や手術を受けました。
クラブ会長のパンカジ・ジェタワニさんは、次のように話します。「ムンバイ地域の政府が運営するリソースの少ない学校に通う子どもたちを支援したいと考えました。彼らは視力検査を受けたことがなく、何らかの屈折障害を抱えています。黒板がよく見えないために学校が嫌いになる子どもや、見えないことを問題ではない、または治療が不可能であると思ってる子どもがいます。このキャンプで治療する子どもたちのほとんどが、これまでに眼科にかかったことがありません」
プロジェクトの計画、実施、評価、募金活動においては、提唱クラブであるボンベイ・セントラル・ロータリー・クラブが支援を提供しました。募金活動の一つとして行ったコメディショーでは、非営利のコンサルティング会社と協力し、インドで有名なコメディアン4名の公演を無料で取りつけました。また、インターネットを利用したクラウドソーシングで、寄付も幅広く働きかけました。
医療キャンプの実施だけでなく、子どもたちに正しい眼科ケアの方法を学んでもらうため、教師に対する研修プログラムも開始しました。この結果、92%の子どもたちが、研修を受けた教師から教えられた眼科ケア(眼鏡をかけるなど)を実行していることが分かりました(キャンプから2カ月後)。
「このプロジェクトは多くの子どもたちを支援し、彼らの未来にも影響をもたらす正しい治療を提供することができました」とジャタワニ会長は話します。
地域賞のクラブ
世界ローターアクト週間に地域賞に選ばれたローターアクト・プロジェクトは以下の通りです。
- アフリカ:カイロ・ロイヤル・ローターアクト・クラブ(エジプト、第2450地区)によるプロジェクト「Tanweer el Heiz」:クラブ会員は、エジプトの村(el Heiz)にある16の家に太陽光システムを設置しました。これにより、村人は、食物を安全に貯蔵し、子どもたちが夜間に勉強するための電気を確保することができました。クラブはこの村のほかの350世帯にも太陽光システムを設置できるよう、募金活動を実施しています。
- アジア太平洋地域:イラワラ・ローターアクト・クラブ(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州、第9750地区)のプロジェクト「The Urban Grown City Farm(都市の農園)」:クラブ会員はほかの地域団体と協力し、有機農園を作り、運営することで、若者の雇用を創出し、地元の事業主に農産物を販売する機会を提供しました。
- ヨーロッパ:バリ・ローターアクト・クラブ(イタリア、第2120地区)とユニセフAfghan Women and Children(アフガン女性と子ども)によるプロジェクト:クラブ会員はユニセフと協力し、アフガニスタンで10人の助産師を研修し、出産に必要な医療物資を提供しました。
- ラテンアメリカ:ガイアナ大学ローターアクト・クラブ(第7030地区)の「ビクトリア識字率向上プロジェクト」:クラブ会員は、地元の小学校で毎週、50人の生徒を対象にした識字率向上および計算スキル向上のプロジェクトを実施しました。さらに、学用品や教室用の備品なども寄贈しました。
- 南アジア:H.R.大学ローターアクト・クラブ(インド、第3140地区)のプロジェクト「"I" for an "Eye"」:クラブ会員は、一般の人々の眼球提供への認識を高め、ドナーカードへの誓約を奨励するため、学校や地域でさまざまな行事を実施しました。また、同クラブはカドゥセウス・ローターアクト・クラブ(本年度の国際賞受賞クラブ)と協力し、眼病治療のために14,000米ドルを集めました。
- 米国、カナダ、カリブ海諸国:イエール大学ローターアクト・クラブ(米国、第7980地区)によるインドの部族地域社会への職業研修プロジェクト:クラブは、インドのボンベイ・ミッドタウン・ロータリー・クラブと協力し、インドのマハラシュトラの部族地域社会に職業研修センターを設置しました。このセンターでは、洋裁や溶接などのスキルを教え、地元の人々の生活の質の向上を目指しています。
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