エボラ出血熱の大流行により、犠牲者が3,600人を超えたリベリア。この数カ月で新規感染数は減少し、11月には政府が非常事態を解除しました。しかし、エボラの流行を完全に食い止めるには、なすべきこと がまだ多く残されています。
リベリアの首都モンロビアで最初のエボラ出血熱の感染者が確認されたのは、昨年6月。感染性も死亡率も高いエボラの拡大を、限られた医療システムしかないこの国で抑えられるのか。この懸念は的中し、感染者数は倍増、都市部でのエボラ拡大のすさまじさを物語ることとなりました。エボラが大都市を脅かしたのは、昨年3月の西アフリカが最後でした。
「エボラ感染の広がりをどうすることもできなかった」 モンロビア・ロータリークラブ会員、デビッド・フランクフォートさんはこう語ります。「ここでは、エボラ出血熱に対応できる十分な研修を受けた医療従事者も、適切な医療設備も不足していました」
感染拡大を食い止めるために直ちに活動を開始したモンロビアのクラブは、10月までに非接触の赤外線体温計200個、検査手袋1万枚、手洗い用の注ぎ口付プラスチックバケツ100個、医療従事者用のゴム長靴120組、マットレス80台、エボラ対応用 車両の無料ガソリン券、学校閉鎖のために自宅に待機している 子どもへの本を寄贈しました。
会員53人のこのクラブは、エボラ患者、医療従事者、支援スタッフへの現地でのサポートを充実させるために、保健・社会福祉省と直接協力しています。「感染者が出始めたとき、救援が来るのをただ待つのではなく、自分たちで緊急行動計画を立てました」とフランクフォートさん。「このような緊急時にこそ地域社会の役に立てるのがロータリークラブだと、身をもって示す使命感を感じました」
モンロビアのローターアクトクラブ(ロータリーが提唱する若者の奉仕クラブ)も協力し、エボラ感染の予防方法や家庭での対策についての認識向上を目指した戸別訪問キャンペーンを実施。この取り組みは、リベリア看護師協会が後援しました。
さらに、世界中の多くのクラブからも支援が寄せられ、中でも英国のマーロウ・ロータリークラブからは113,000ドル以上の寄付が寄せられました 。
さらに、世界中の多くのクラブからも支援が寄せられ、中でも英国のマーロウ・ロータリークラブからは113,000ドル以上の寄付が寄せられました。
感染減少も、対応の手を緩めず
世界保健機関(WHO)によると、最も深刻な打撃を受けたリベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国での死者数は8,620人以上。エボラ出血熱は、血液や体液との接触によって感染し、嘔吐、下痢、体内出血といった症状を引き起こします。現在、有効な治療方法はありません。
何カ月にもわたる緊急対応の結果、新たな感染者数は減りつつあります。しかし、モンロビア・ロータリークラブの会員で、保健大臣のシニアアドバイザーを務めるウィリアム・マーティンさんは次のように話します。「一番の懸念は、国境付近の貧しい地域で越境者が絶えないことです。リベリア国内で感染をなくすだけでは十分ではありません。政府は、いつ起こるかわからない感染に備えて万全な態勢を整える必要があります」
今年創立50周年を迎えるモンロビアのクラブは、エボラと闘う活動を続けていく決意を固めています。マーティンさんは「これまでの活動の成果を誇りに思う」としつつも、「しかし、ここで引き下がるわけにはいきません」と話します。クラブは、エボラで親を亡くした孤児のための養護施設に8万ドルを寄付するほか、リベリア最大の病院であるジョン F. ケネディ・メディカルセンターに感染者治療用の酸素濃縮器を寄贈し 、保健と社会福祉の分野の奨学金を提供するなど 、モンロビアでの長期的な支援に向けた活動を計画しています。
人口440万人のリベリアでは、300人以上の医療従事者がエボラ熱に感染し、うち178人が死亡。エボラ流行前でさえ10万人に一人しか医師がいなかったことを考えれば、今回のエボラの流行がこの国にいかに深刻な打撃を与えたかがわかります。ちなみに、WHOが推奨する医師の数は最低600人に一人とされています。
クラブの活動が緊急の救援から長期的な支援へと移行する中で、会員らは、政府の手が届かないところで支援活動を続けていきたいと考えています。「地域社会での支援と認識向上が中心となるでしょう。人びとがエボラ出血熱について正しい知識を持つことが大切です。流行が再び起これば、この国への打撃はより一層悲惨な ものとなるでしょう」
>> モンロビアでのエボラ対応活動への支援はこちら
>> エボラ出血熱の流行に対するロータリーの対応について
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