「ポリオ撲滅は公共保健上の緊急課題」世界保健総会
国際ロータリー・ニュース:2012年5月30日
チャドでポリオ予防接種を受けた子ども。しかし、中央アフリカの国々やそのほかの地域では、ポリオの脅威にさらされている子どもたちが存在します。写真提供:Jean-Marc Giboux
世界ポリオ撲滅推進計画(GPEI)はこの度、「2012-13年世界ポリオ緊急行動計画(Global Polio Emergency Action Plan 2012-13)」を立ち上げました。この1年間でポリオ発症数は大幅な減少を見せているものの、いまだに資金不足の問題が残されており、予防接種の徹底化も緊急に求められています。
この計画は、3つのポリオ常在国(ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタン)における予防接種活動を充実化させることを目的としています。5月25日、ジュネーブで開かれた2012年世界保健総会でも、各国の保健大臣がポリオ撲滅を「世界公共保健プログラムの緊急事態」として宣言するための決議を可決しました。
2010年以降、ポリオ撲滅活動では大きな進展が見られました。インドは2012年2月に世界保健機関(WHO)によりポリオ常在国リストから除外され、ポリオがなくなった国における再発生は抑えられています。しかし、同じく2010年以降、パキスタンやナイジェリアからのウイルス流入により、中国や西アフリカでポリオの新たな感染者が確認されています。今、ポリオを完全に撲滅しなければ、今後10年間で20万人の子どもたちがポリオの脅威にさらされると予想されています。
世界保健機関のマーガレット・チャン事務局長は、「ポリオ撲滅は、成功と失敗の分かれ目にあり、緊急事態として、ポリオの脅威が最も大きな地域で集中的に予防接種を行わなくてはならない」とし、撲滅達成に向けて速やかに対応する必要性を訴えました。
また、ポリオ撲滅が達成されれば、2035年までに400億~500億ドルの医療費の節約が期待できるとも予測されています。
カルヤン・バネルジー国際ロータリー会長は、「インドでの成功例が証明するように、ポリオ撲滅は達成できます。問題は、それを支援する政治的・社会的意思があるかどうかです。ここで撲滅活動をやめてしまえば、毎年20万人の子どもたちが身体の自由を奪われてしまいます」と話します。
世界ポリオ緊急行動計画
世界ポリオ撲滅推進計画の緊急行動計画は、新たな国別の緊急計画とともに立ち上げられました。この計画は、インドでの成功例を基に、以下のようなポリオ撲滅活動を支えるための新たな戦略やイニシアチブを含んでいます。
- ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンの最も発症数の多い地域に焦点を当て、2012年末までに、ウイルスの伝播を食い止めるために必要な予防接種を実施する。
- 各国の状況に応じた新たなアプローチを 取り入れ、ポリオ予防接種キャンペーンの質を向上させる。
- 政府、パートナー機関や組織のあらゆるレベルにおける説明責任、協力体制 、監視体制を強化する。
- 技術支援や社会的動員を高める。
緊急行動計画実施には十分な資金が不可欠
GPEIはすでに、資金不足のせいで24の高リスク国で予定されていた予防接種活動を中止したり、規模を大幅に縮小するといった対応を余儀なくされており、これによって多くの子どもたちが危険にさらされています。また、ポリオがなくなった国でも再発生の危険性が高まっています。
「すべての子どもたちに予防接種が行われない限り、撲滅は実現できません。この恐ろしい病とこれまで闘ってきたのですから、今こそ歴史を作る時です。でなければ後世までこの活動を達成できなかったことが悔やまれるでしょう」と語るのは、ユニセフのアンソニー・レイク事務局長です。また、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のクリス・エリアス氏は、「私たち全員がポリオのない世界を達成するための責任を持つ」とし、ワクチンによって防ぐことのできる疾病からすべての子どもたちを守ることの重要性を訴えています。
緊急行動計画の実行は、2013年までの10億ドルの資金不足 によって妨げられています。
緊急事態として取り組む
2012年から、GPEIの活動はより緊急性を増しています。米国疾病対策センター(CDC)は緊急オペレーションセンターを稼働、ユニセフは副事務局長直下の部門間緊急調整委員会を正式に発足、WHOは、ポリオ撲滅活動の運営を戦略的保健オペレーション・センター(SHOC)に移しました。
これらの対応は、これまでH1N1ウイルスの流行や2004年のインド洋での津波など、緊急性の高い問題に対して取られてきたものであり、あらゆる技術を結集させ、リアルタイムで状況を監視し、必要な場合に即時に修正措置を取ることを可能にします。3月、ロータリー財団管理委員会は、ポリオ撲滅が財団の緊急的最優先事項であることを再確認しただけでなく、ロータリーのシニアリーダーは、ポリオ常在国の国家元首との1対1の会合を行っています。
CDCのトーマス・フリーデン博士は、「ポリオ撲滅の達成に向けた関係者全員のコミットメントが必要です。簡単なことではありませんが、互いに協力すれば永久にポリオをなくすことができます」
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