今こそポリオ撲滅のとき
記事:Arnold R. Grahl
国際ロータリー・ニュース:2010年3月30日
インターナショナル・ポリオ・プラス委員会のロバート・スコット委員長(左)は、2009年10月10日、イスラマバード(パキスタン)にて、アシフ・アリ・ザルダリ・パキスタン大統領(中央)やその他の政治関係者とともに、全国予防接種日を設けました。写真提供:Usman Maud Khan
新型ワクチン、新たな対策、政治指導者からのさらなる支援を受け、ロータリーと協力組織が主導する世界ポリオ撲滅推進計画(Global Polio Eradication Initiative)では、ポリオ撲滅に向けて万全の態勢が整っています。
2009年はポリオとの闘いにおける重要な分岐点となる年だったと、世界保健機関(WHO)の撲滅推進計画責任者であるブルース・アイルワード博士は言います。「数千年にもわたって人類を苦しめてきた」病の、小さいながら致命的な弱点がついに発見されたと、博士は説明します。
「対策とワクチンが改善されたことに加え、今までにも増して多くの支援が寄せられています」 アイルワード博士は、3月18日にシカゴで開催された研修の中で、ロータリー財団地域コーディネーター(RRFC)に向けてこのように述べました。「あなた方は、この新たな方策の実施において最前線に立つロータリアンです。ロータリーが先頭に立たなければ、撲滅を果たすことはできません。ですから、すべてのロータリー・クラブがこのことを認識するためにも、皆さんの力が必要なのです」
世界ポリオ撲滅推進計画のこの新たな方策では、ポリオウイルスが蔓延する地域に住む、より多くの子どもたちにワクチンが投与できるよう、莫大なリソースを投入していきます。例えば、ポリオが蔓延するインドのビハール州とウッタルプラデシ州での調査によって、何千世帯もの子どもたちが、いまだに保健員による予防接種を受けていないことが明らかになりました。これらの州では、最貧困地域に人口が集中し、劣悪な衛生環境の中でウイルスが蔓延しているために、解決が難航していました。
指導者からの支援
新たな方策におけるもう一つの重要ポイントは、政治指導者や地域の古くからの指導者たちからの支援を引き出すことです。これは、残るポリオ常在国であるアフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンでポリオを撲滅する上で、決定的な意味を持ちます。これら指導者たちから支援を得るために、ロータリーは率先して行動してきた、とアイルワード博士は言います。去る2009年10月、インターナショナル・ポリオ・プラス委員会のロバート・スコット委員長は、パキスタン大統領のもとを訪れ、ポリオのない世界に向けた同大統領の貢献を称え、ポリオ撲滅貢献賞を授与しました。また、ビル・ゲイツ氏は、2009年11月にインドへと赴き、州知事からの支援を確保するために、同国のロータリー指導者たちと会談しました。
アフガニスタンでは、ロータリアンの力添えにより、タリバンとNATO軍より、予防接種活動への全面協力を奨励する公式文書を得ることができました。潘基文国連事務総長は、英国バーミンガムで開催された2009年RI国際大会において、紛争地での予防接種活動の阻害要因をなくしていくために、休戦の日を設けるよう努めていくと発言しました。
3月6日~8日の大規模な一斉予防接種活動を実施する際、ロータリー財団は、緊急の資金的ニーズに応えるため、中央/西アフリカの19カ国の指導者たちの支援の下、3,000万米ドルの資金を迅速に投入しました。これらの国々のうち9カ国では、この半年のあいだに、ポリオウイルスの温床となっているナイジェリアからウイルスが伝播したことによる感染者が確認されています。次回の予防接種活動は4月24日に予定されており、これでポリオが猛威を振るっている国々で3度目のウイルス掃討作戦が展開されることになります。
アイルワード博士は、新型の二価経口ポリオワクチンの効果を高く評価しています。同ワクチンは、ナイジェリアとパキスタンで使用されて以来、昨年12月に初めてアフガニスタンで使用されました。二価ワクチンは、世界に残る2種類(第1種、第3種)の野生ポリオウイルスの両方に効き目があるという点において一価ワクチンより優れています(第2種のウイルスはすでに撲滅しました)。また、昨年行われた臨床実験によって、二価ワクチンは、一価ワクチンとほぼ同様の効果を持つことが実証されました。
新しい対策とワクチンは、驚くほど効果を発揮している、とアイルワード博士は言います。2009年、ナイジェリアの24州で388件のポリオ感染が確認されましたが、現在、その数は、わずか1件にまで減少しました。また、インドでは、1件の第1種遺伝系統ウイルスを数えるのみとなりました。
ロータリーの2億ドルのチャレンジ
ロータリーの2億ドルのチャレンジ委員長を務めるジョン・ジャーム財団管理副委員長は、同チャレンジの目標に向け、ロータリアンがこれまでに1億1,560万米ドルを達成したと述べ、募金活動がこれからも重要となることを強調しました。「ポリオ撲滅キャンペーンは、歴史上最大の公衆衛生活動です。私たちにはそれができるのです。また、そうしなければならないのです。世界の子どもたちと約束したのですから」
ジャーム副管理委員長は、ロータリー財団の学友と11のロータリー親睦活動が同チャレンジに加勢してくれたと話します。学友による26万米ドルの寄付をはじめ、インターアクト・クラブからは7万米ドル、ローターアクト・クラブからは4.1万米ドルの寄付が寄せられています。
フリーランスのジャーナリスト兼プロデューサーであるペニー・ルゲイトさんは、2010年1月の国際協議会で、エチオピアとインドで実施された予防接種活動に参加したときの体験談を語ってくれました。
「この腕に赤ん坊を抱いて、もうこの子はポリオに感染することはないんだって知ったとき、私は何と言っていいのか分からないほど感動しました」とルゲイトさん。彼女はまた、インドでポリオに感染したミナクシという女の子に出会ったときに感じた、胸も張り裂けんばかりの悲痛について語ってくれました。ボランティアの保健員は、ミナクシの母親に向かって、この少女のための薬がないことを説明しなければならなかったのです。
ルゲイトさんは、予防接種活動への参加をRRFCに呼びかけ、ポリオ撲滅活動が進展すれば予防接種も必要なくなると期待する胸の内を語りました。「ポリオ撲滅の使命は、ロータリーという存在の中心にあり、活動の中核を成しています」
ロータリーのポリオ撲滅活動の詳細は以下をご覧ください。