ロータリーへの入会が、人生最高の決断と振り返るホロコースト生存者
記事:Ryan Hyland
国際ロータリー・ニュース:2009年4月28日
Sam Harris, a member of the Rotary Club of Northbrook, Illinois, USA, and board president of the Illinois Holocaust Museum and Education Center, stands in front of the museum, which celebrated its grand opening 19 April. Photo by Joel Lerner/Kring Lerner Group
ロータリアンのサム・ハリスさんは、長年、子供の頃に体験したナチス強制収容所での記憶を自分の胸の内だけにとどめてきました。
しかし、ロータリーを通じて築いた友情によって、ハリスさんは、自身の体験談を話す勇気を得たのです。また、地元のホロコースト生存者のグループとともに、自分たちの記憶を保存するための博物館の建設計画に乗り出すことができたのも、ロータリアンからの励ましがあったからです。
1970年以来、米国イリノイ州ノースブルック・ロータリー・クラブの会員である73歳のハリスさんは、同州スコーキーにあるホロコースト博物館(Illinois Holocaust Museum and Education Center)の館長を務めています。 4月19日に行われた同博物館の開館式では、ビル・クリントン米国元大統領とノーベル平和賞受賞者のエリ・ヴィーゼル氏が講演を行いました。
広さ約6,000平方メートルの館内には、地元の生存者によってつづられた2千にも及ぶ体験の記録に加えて、写真、展示品、ニュルンベルク裁判記録の実物が保管されています。また、収容者を収容所に運ぶために使われたナチス時代の鉄道車両が、ハリスさんの計らいによって展示されています。
ハリスさんは、1977年にクラブ例会でラビのウィリアム・フランケルさんと親しくなりました。第二次世界大戦中に行われた残虐行為について次世代に伝えていくためには、自己の体験を語る必要があるのだと、ハリスさんを説き伏せた人物が、このフランケルさんだったのです。
「私たちは歴史から学び、二度とホロコーストを繰り返してはならないのです」とハリスさん。「ホロコースト博物館を建設するという夢を実現できたのも、私たちを支えてくれるロータリーの存在があったからです」
ハリスさんは、1988年に、生存者から成るイリノイ州ホロコースト記念財団(Holocaust Memorial Foundation of Illinois)のメンバーとなりました。約10年前に、新しい博物館を建設するというグループの計画をノースブルック・クラブに初めて発表したときのことを今でも鮮明に覚えていると言います。
「私が話し終わると同時に、同じテーブルに着いていた会員のほぼ全員が、支援を買って出てくれたのです。会合が終わる頃には、さらに多くの会員が支援を申し出てくれて、気がついたら委員会まで結成されていました」とハリスさん。「計画の当初からロータリーは力になってくれました。ロータリアンの支援がなければ、これは実現し得なかったことです」
ハリスさんは、両親と数人の兄弟を強制収容所で亡くしました。戦争が終わると、妹のサラさんとともに、収容所で結婚した姉のロサさんの計らいにより米国に送られ、シカゴの養護施設で暮らしました。その後、二人は養子としてノースブルックの家族に引き取られました。
1970年にロータリーに入会したことが、人生最良の出来事だったと、とハリスさんは言います。
「ロータリアンとなったことで、自分の生き方が見えてきました。これまで数多くの経験をしてきた中でも、ロータリーでの経験が最高です。 とにかく出会う人すべてが、素晴らしい人々ばかりなんです」
ハリスさんは現在、博物館にロータリーを称える額を取り付けるための資金集めを行っています。
「ロータリーの標語『超我の奉仕』ほど、この博物館の意味するところ、そして私をはじめとする生存者のために尽くしてくれた人々の献身を見事に伝えてくれる言葉はありません」